前回の記事「アダルトチルドレンについて①」では、その概念と生きづらさを抱える理由について解説させていただきましたが、
子どもの頃に親子での役割が逆転するというのは、具体的にどういう事を指すのでしょうか。
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典型的なアダルトチルドレンの場合、父親がアルコール中毒であるために
家の中は父親のその日の気分に大きく左右されます。
今日は機嫌が良くても、明日は嵐のように機嫌が悪く、場合によっては巻き込まれる事もある。
常にその不安が隣り合わせである為に、母親はいつも父親の機嫌を伺います。
本当は飲酒をやめて欲しくても、その声は届くどころか怒りを増幅させますので
次第に、この夫婦には「共依存」の関係が生まれます。
その夫婦関係の下で、子どもはどのように家の中をサバイバルするでしょうか。
そのタイプはいくつかあると思いますが、
例えば、酔った父親の日頃の不満の捌け口になったり、無意味な説教を何時間も聞かされ続けると
次第に子供は自分の欲求に蓋をして、いつも両親の機嫌を伺いながら過ごす事が日常となります。
また、度々両親の喧嘩を目の当たりにすることで、子どもの心には「このままどうなってしまうのだろう」という、言葉にならない大きな不安が生じるだろうと思いますが
その心が誰かにケアされることはなく、本来の子どもらしい伸び伸びとした心の感覚は、本人も知らぬ間に徐々に鈍っていきます。
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この一例のように、親子の役割が逆転するとは
本来であれば、子どもが無条件の愛情を注がれたり、やんちゃを言って親を困らせたりすることが必要な時期に
親自身の心が大変である為に、日常的に子どもの側が親の顔色や機嫌を伺ったり、精神的なケアをする事を指します。
子どもというのは、大人のように気持ちを自覚したり説明する事は難しい為、多くの場合はその感情を無かった事にして(感情鈍麻)、束の間の静かな日常が戻ってくるまでその時をどうにかやり過ごすのではないかと思います。
しかし、それらの感情(寂しさや悲しみ、怒り)はあくまでも麻痺していただけに過ぎず、心には蓄積されていますから、子供の頃はどうにかやり過ごせても、大人になった時に何かのきっかけで傷が疼き、人によっては手当てが必要になるのです。
冒頭で説明した概念に該当すると自覚した時、私は自己理解がより深まったことによる安心感と共に、気の重さを覚えました。
ですが、心の奥底にずっと残されていた大きな傷に触れたという事は
私が私を信頼して生きていくスタートラインに立てたという事でもあったと思うのです。
「アダルトチルドレン」という言葉は、今やネットやYouTube等で簡単に目にするようになりましたが、
私は誰かのせいにすることで人生の変化を恐れるのではなく
自覚と気づきによって心を回復させながら、私らしく生きていく為のきっかけにしたいと思いました。
またその思いが、必要な時間をかけてカウンセラーという仕事へ導いていってくれたように感じています。
私を選んで下さるクライアントに対しても、
自分を受容していく際に生じる苦しみの経過を共に歩みながら、その方の中に本来備わっている素晴らしさや可能性をも発見していきたいと思っています。
自己を見つめる作業は、穏やかに進む時もあれば苦しみを伴う時期もあり、随分前進したなと感じられる日もあれば、少し戻ったような感覚になる事もありますが
季節の移ろいと同じように、自然に回復していくという事は、行きつ戻りつする中で気付いたら以前より生きやすくなっていた、と感じられるものなのかもしれません。
でもだからこそ、その過程を歩んできた自分のことを、心強く思えるようになるのではないでしょうか。
長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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